井植美奈子

日本のEEZ圏内は全世界の海洋生物の15%もが生息する豊かな漁場にもかかわらず、水産資源量が高位にあるのはわずか16.7%である。トラフグ、ニシン、ホッケをはじめ、全体の半数がすでに枯渇状況にある。さらに2014年以降この海域を回遊する二ホンウナギと太平洋クロマグロは国際自然保護連合(IUCN)の絶滅危惧種に指定された。 太平洋クロマグロは日本のEEZに産卵場がある上、世界の総漁獲量の3分の2を日本が漁獲していることを鑑みても、初期資源量から97.4%も減少し、絶滅危惧種に追いやられたのは日本の責任が大であることを認めなければならない。 ウナギの状況はさらに深刻だ。日本で消費されているウナギの約99%は養殖に頼っている。養殖では稚魚を捕獲して池入れを行うので、それらの稚魚は当然自然界に次世代を残せず、資源は減少の一途を辿った。その養殖に利用されている稚魚の7割もが、違法漁業によるものとされる。過剰漁獲に加え、IUUの問題が深刻なのだ。IUUとは、Illegal(違法)・Unreported(無報告)・Unregulated(無規制)の漁業問題であり、ウナギやサメが典型的な対象魚だ。